スーパーマーケットでポイントカードを導入するメリットとデメリットを解説
多くのスーパーが導入している施策のひとつが、ポイントカードの導入です。顧客を呼び込むために、導入を検討している企業や店舗もあるのではないでしょうか。しかし、ポイントカードは導入すれば必ずメリットを得られるものではありません。
ポイントカード導入を成功させるには、ポイントカードの役割やメリット・デメリットをおさえておくことが大切です。今回は、スーパーマーケットにおけるポイントカードの導入について解説します。
目 次
ポイントカードとはそもそもどういうものか
そもそも、ポイントカートとはどういうものなのでしょうか。企業が自社商品やサービスを購入した顧客に、利用状況やステータスに応じてポイントを付与するサービスのことを、ポイントサービスといいます。ポイントカードは、サービスを利用するために使われるカードです。
購入金額や回数に応じてスタンプを押す形で発行されていました。現在は会員バーコードにより管理するのが一般的です。また、スマートフォンアプリも積極的に活用されています。
ポイントをある程度溜めると、商品や景品との交換ができる特典を付ける仕組みが多い傾向にあります。店舗ごとにルールが異なり、ポイントサービスを使ってブランディングを行っているところもあります。
ポイントカードの役割
ポイントカードの主な役割は、顧客の体験価値を高めて集客やマーケティングにつなげることです。ポイントカードがあると、顧客はポイントを貯める楽しみを得るために積極的に店舗を利用するようになります。
このように、顧客満足度を高め、購買やサービスの利用を促すのが主な役割です。
ポイントカード導入で得られるメリット
ポイントカードを導入すると、さまざまなメリットを得られます。次は導入により得られるメリットについて詳しく解説します。
顧客ロイヤリティの向上
ポイントカードには顧客ロイヤルティを向上させる効果があります。ロイヤリティ向上効果がうまく働けば、顧客を優良顧客、つまりファンに変化させられるでしょう。
ポイントサービスを通じてファンとなった顧客は、積極的に店舗を利用するようになります。また、自らほかの顧客へ店舗をアピールしてくれるようにもなります。顧客をファン化させる効果のあるポイントカードは、優良顧客確保の有効な手段です。
また、ポイントカードサービスを行うことで、ただの値引きとは違う付加価値をつけることもできます。多くの顧客から支持を得られるポイントサービスを導入できれば、多店舗との差別化効果も得られるでしょう。
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顧客情報の管理
ポイントカードを新規作成する際、名前や電話番号などの顧客情報を入手できます。得た情報を分析し、集客施策に活かせば、より効率的・効果的な施策を打ち出せるようになるでしょう。
顧客の個人情報は、なかなか手に入らない情報です。当然ですが、直接聞いたところで応えてくれる顧客はほとんどいません。しかし、ポイントカードを活用すれば、自然に情報を集めることができます。これもポイントカードが持つメリットです。
マーケティング活用
ポイントカードから得られる情報は、顧客情報や属性だけではありません。普段購入している商品や、利用しているサービスの内容・頻度も分かります。マーケティングに活用できる情報が簡単に手に入るのも、ポイントカードのメリットです。
ポイントカードの利用状況から得た情報を定期的に分析し、施策に活かせばより効率的なマーケティングを実現できるでしょう。
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客単価向上
ポイントカードは顧客単価向上にも効果があります。ポイントが倍になる日や特定のサービスを提供することで顧客の購買意識を刺激できるのも、ポイントカードならではのメリットです。
ポイントをお得にためられる制度があると、顧客はより多くのポイントを得たいと考えるようになります。結果、普段よりも多い品数を購入してくれる可能性や、普段は購入しない高価な商品を購入してくれるチャンスが高まります。
ユニークなポイントデーを作れば、同業他社との差別化を図ることも可能です。ポイントが倍になるクーポンなどを会員限定で発行するなどの施策を実施すれば、集客効果も期待できます。
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ポイントカード導入で発生するデメリット
ポイントカードにはさまざまなメリットがある、とても便利な施策です。しかし、導入にはメリットだけでなくデメリットも発生します。デメリットの内容や店舗状況により、導入を見送った方がよい場合もあるでしょう。
ポイントカード導入デメリットを得るには、デメリットやリスクの内容もよく理解しなくてはなりません。
ポイントカード導入にかかる費用
ポイント付与やポイントカード発行には、費用がかかります。この費用負担は、導入において避けられないデメリットです。
ポイントカードのポイントは、購入金額に応じて発行されます。実質ポイント購入費用を負担している状態です。ポイント還元率に注意しないと、売上や営業利益に影響を与えてしまいます。
特に、共通型ポイントを導入するときは注意が必要です。共通型ポイントは1ポイントごとに購入費用が発生するうえに、多店舗でポイントを使われる可能性があります。
自社でためたポイントを他社で使われては、利益を多店舗にもっていかれるのと変わりません。
ポイントカード導入の際は、これらのデメリットやリスクもよく考えたうえで検討しましょう。
オペレーション時の負担がかかる
ポイントカードを導入・運用するには、ポイント付与や使用時のオペレーションが必要です。スーパーマーケットの場合は、レジでの作業が増えることになります。
作業が増えて煩雑化するのも、ポイントカード導入で発生するデメリットです。
従来と変わらないスムーズな対応をするには、レジスタッフがポイントシステムをきちんと理解しておかなくてはなりません。また、ポイントを間違って消費した場合やカードの紛失に伴う再発行などの、イレギュラー対応が発生する可能性もあります。これらに付随するクレーム対処も行わなくてはなりません。
これらの対応をスムーズに行うための研修やマニュアル作成も必要になるでしょう。ポイントカード導入の際は、オペレーションやイレギュラー対応の負担も考慮しなくてはなりません。
ポイントカードの紛失・再発行にかかる手間
ポイントカードは紛失時の再発行手続きの手間や負担も発生します。これもデメリットのひとつです。
ポイントカードを渡した顧客は、必ずシステムを利用するわけではありません。なかには不要だと感じて捨ててしまう方や、普段使わないために紛失してしまう方もいます。
何度も再発行していると費用もかかるようになりますが、これもまたポイントカードを導入するうえで避けられないデメリットです。
値引きやサービスによる利益損失
ポイントやその景品の負担が大きいと、利益損失につながる可能性があります。利益に影響が出ないようにするには、ポイント制度や還元率を調節しなくてはなりません。
利益損失リスクを避けるあまりポイント還元率を絞り込んでしまうと、顧客側にメリットを提供できなくなります。メリットのないポイントカード制度は、顧客流出につながってしまいます。
経営を圧迫しないようにしつつ、顧客側にポイントカードのメリットを提供するには、慎重なポイント制度調節が必要です。
スーパーマーケットでのポイントカード導入は慎重に判断しよう
ポイントカード制度は、企業と店舗にさまざまなメリットをもたらす半面、導入時に避けられないリスクもあります。うまく運用するには、自社や顧客の状況の分析が必要です。ポイントカード導入の際は、本当に自社に必要な制度か、慎重に判断しましょう。