スーパーマーケットの工夫とは?店舗経営に必要な3つの考え方
ドラッグストアやコンビニなど、日用品や食料品を扱う店舗が増え、コロナ禍などの影響でネットショッピングが台頭してきた昨今、実店舗を構えるスーパーマーケットではどのような工夫がなされているのでしょうか。本記事では、スーパーマーケットが行える工夫について、実店舗経営の観点から集客・店頭での購買体験・リピーター獲得の3つの視点から解説します。
目 次
スーパーマーケットができる工夫とは
そもそもスーパーマーケットの工夫とは、どんなことを指すのでしょうか。店舗経営の観点から見ると、まず店舗に来てもらうこと、次に店舗でできるだけたくさん買ってもらうこと、最後に何度も店舗に来てもらうこと、という意味で、以下の3つのことがらが挙げられます。
- 集客
- 店頭での購買単価や購買率を上げる
- リピーターを増やす
次章からは、それぞれの工夫について詳しく解説します。
スーパーマーケットの工夫①:集客
実店舗であるスーパーマーケットでは、まず顧客に来店してもらわなくてはなりません。そこで、最初に集客方法で行える工夫について見ていきましょう。
集客手法について
現代は「モノが売れない時代」と言われています。品質が高い商品が増え、人々がなかなか買い替えなくなったこと、サブスクリプションやシェア文化が発達していること、感染症予防によるECサイトの台頭などから、多くの小売業や実店舗は苦境に立たされています。
そんな中、実店舗を構える小売業であるスーパーマーケットが生き残るためには、より多くの人に来店してもらう集客の努力が必要です。集客のために行える努力・工夫として、今回はマーケティングとターゲティングの2つの手法をご紹介します。
集客手法について詳しくは、以下の記事で詳しく解説しています。
「スーパーマーケットの集客方法を知ろう!現状や必要なことも合わせて解説」
マーケティング
集客や店舗運営を考える上で、最も大切なのはマーケティングです。マーケティングでは、企業と顧客の相互関係、相互利益が求められます。つまり、企業が一方的に利益を得るのではなく、顧客も商品を購入することで利益を得る、Win-Winの関係を築く必要がある、ということです。
マーケティングによって顧客側にも利益(メリット、ベネフィット)が得られれば、顧客が店舗や企業を好んで利用してくれる、ファンになってくれる可能性が高まります。すると、顧客のLTV(顧客生涯価値)もアップし、一時的な利益ではなく継続的な利益を得ることにもつながるでしょう。
マーケティング手法について詳しくは、以下の記事をご参照ください。
「店舗経営に必要なマーケティング手法とは?マーケティングはなぜ必要?」
ターゲティング
ターゲティングとは、スーパーマーケットで言えば客層に合わせたアプローチを行うことです。スーパーマーケットの客層は変化しており、店舗の売上により大きく貢献してくれるような「来店頻度が高く」「購入金額も高い」という客層は高齢化しているとされています。この客層は、いわゆる団塊の世代と呼ばれる世代を指します。
とはいえ、主要な客層は若年層から高齢層まで、いずれもファミリー層であることは変わりません。ファミリー層のターゲティングには、親子それぞれが楽しめるイベントの開催や、キッズスペース・設備の整備、安心して過ごせるための感染症対策が必要です。客層に合わせ、店舗独自アプリでクーポンやお得情報を配信するのも良いでしょう。
ターゲティングに関する記事として、以下の2つがあります。ぜひご一読ください。
「スーパーの客層は変化している!?ターゲット層へのおすすめアプローチとは」
「スーパーでファミリー層を集客するには?売上アップのおすすめ施策もご紹介」
スーパーマーケットの工夫②:店頭での購買体験
次に、実際に店頭に来てくれた顧客に対し、より良い購買体験を提供するための工夫について解説します。スムーズでストレスフリーな購買体験ができることで、よりたくさん買ってくれること、次回以降のリピーターとなってくれることにつながるためです。
売り場の陳列
売り場での陳列は、買上率や買上平均点数などを上げるために重要です。
買上率…来店した顧客のうち、商品を購入した顧客の比率
買上平均点数…顧客一人あたり、商品を何点購入したか
買上率を上げるためには、そもそも商品を陳列している棚の前で立ち止まったり、商品を視認したりしてもらわなくてはなりません。さらに、買上平均点数を増やすには、「ついで買い」を促すことが重要です。そのために、商品の陳列方法を工夫し、買ってほしい商品を見やすい位置に配置したり、関連する商品を近くに配置したりする必要があります。
このような陳列法方法について、法則を3つの記事で解説しています。陳列方法に悩んだときは、ぜひご一読ください。
「スーパーの売り場にはどんな工夫がされている?効果的なディスプレイとは」
「売り場の陳列はなぜ重要?適切な場所の選び方をポイントで解説」
「スーパーマーケットの売場レイアウトには理由がある!品物別の法則をご紹介」
店頭販促
店頭販促とは、実店舗において「商品を購入したい」という気持ち(購買意欲)をかき立てるための活動のことを指します。来店してもらった後で、購入金額を上げるための方法なので、「今、この商品がほしい」と思わせる工夫が必要です。店頭販促では、以下の2つを意識しましょう。
購入率アップ…来店した顧客が商品を購入する確率を上げる
客単価アップ…購入点数や購入金額を上げる
店頭販促の手法には、ポップや陳列の工夫、のぼりやポスターがあります。詳しくは、以下の記事で解説しています。
「店頭販促とは?基本の考え方と目的、方法について知ろう」
店舗DX
デジタル技術の導入で、購買体験そのものを全く新しくする手法です。店舗DXとは小売業に特化したDXのことで、店舗運営に最新のデジタルテクノロジーを導入し、新しい顧客体験を生み出すものを指します。スーパーでは、以下のような店舗DXが考えられます。
- セルフレジ
- ICタグ
- デジタルサイネージ
- 専用アプリ
店舗DXについて、詳しくは以下の記事でご紹介しています。
「店舗DXをスーパーで行うには?具体例とメリットをご紹介」
スーパーマーケットの工夫③:リピーター獲得
最後に、訪れた顧客が「また行きたい」と思える店舗にすること、すなわちリピーター獲得のための工夫があります。
スーパーにも差別化戦略が求められる時代に
顧客が商品を購入する場所が、スーパーマーケットだけではなくなりました。コンビニ、ドラッグストア、ネットショッピングなどが競合店舗として挙げられます。日用品だけでなく、生鮮食料品も年々取り扱う店舗が増えているため、競争が激化しています。
スーパーマーケットと競合店舗を差別化するポイントとして「お得さ、食品の特徴、営業時間」のほか、感情的価値など付加価値も提供できるでしょう。今回は付加価値を提供することに関連して、LTV向上とキッズ用設備についてご紹介します。
スーパーマーケットの差別化戦略について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
「スーパーの差別化戦略とは?理由や差別化のポイントを詳しく解説」
来店頻度を上げる
実店舗が存続していくためには、顧客の「来店頻度」が重要です。来店頻度は顧客の「LTV(Life Time Value)=顧客生涯価値」に直結するためです。LTVを上げるには、一人ひとりの顧客がどれくらい頻繁に来店し、買い物をしてくれるか考えなくてはなりません。
LTVが高くなるということは、顧客がそのお店に対し、長期的かつ継続的に金銭を支払うということでもあります。つまり、実店舗の事業基盤の強さにもなりえますので、「選ばれる店舗」になることが重要なのです。
顧客から選ばれる店舗になる方法について、詳しくは以下の記事で解説しています。
「スーパーマーケットが顧客の来店頻度を上げるコツ|選ばれる店舗の条件とは」
キッズスペースやキッズ用設備の整備
スーパーマーケットの主要ターゲット層であるファミリー層をリピーターとするには、キッズスペースやキッズ用設備などを充実させ、「また来たい」と思ってもらうことが重要です。例えば、キッズスペースを設置すれば子どもが自分で遊んでいてくれるため、保護者がその間にゆっくり買い物できます。
また、きゃらくるカートで子どもが自主的にショッピングカートに乗ってくれれば、保護者にとっても子どもにとっても楽しい時間になるだけでなく、保護者が子どもから目を離したり、子どもから離れたりすることなく、一緒に店内を回りながら買い物を楽しめます。
キッズスペースやきゃらくるカートについて、詳しくは以下の記事もご一読ください。
「実店舗のキッズスペースにはどんなメリットがある?作り方と注意点も解説」
「きゃらくるカートが安全性に優れているワケ」
「「また行きたい!」のきっかけに。きゃらくるが愛される理由」
まとめ
スーパーマーケットの店舗運営では、マーケティングやターゲティングによる集客、陳列の工夫や店頭販促、DX化などによる購買体験の向上、差別化戦略でリピーター獲得の3つの視点が必要です。特に、新規顧客の獲得だけでなくリピーター獲得でLTVを上げるためには、スーパーマーケットの主要ターゲット層であるファミリー層に向けた施策に力を入れる必要があります。