デジタルサイネージをスーパーで使うには?活用方法やメリットをご紹介
近年、広告や情報掲示の媒体として、デジタルサイネージが普及してきています。駅構内や電車内で見かける電子広告としてのデジタルサイネージは既に広く使われていますが、昨今はスーパーなど小売店の店頭でも使われることが増えてきました。本記事では、デジタルサイネージをスーパーで使うケースに焦点を当て、活用方法やメリットをご紹介します。
目 次
デジタルサイネージとは
デジタルサイネージとは、デジタル技術を利用した情報・広告媒体のことです。スーパーなどの店頭で使われるほか、屋外や公共機関、交通機関などさまざまな場所で使われています。代表的なものに、柱の側面を使った広告や街頭に設置された大型ビジョンがあります。デジタルサイネージが台頭してきた背景として、ディスプレイの発展やデジタルネットワーク、無線LANなどの普及が挙げられます。
デジタルサイネージでは、ディスプレイ上に静止画や動画を流すことで情報を見やすく表示します。内蔵記憶装置に情報を記録したり、インターネット回線を通じてさまざまな情報を送受信したりすることで、紙媒体とは異なり、差し替えの手間なく何種類ものコンテンツを表示できます。曜日や時間帯に合わせて表示内容を変えたり、即時的な情報伝達をしたりするのも簡単です。
デジタルサイネージの導入は、店舗DXの一環でもあります。店舗DXについては、以下の記事で詳しくご紹介しています。
「店舗DXをスーパーで行うには?具体例とメリットをご紹介」
デジタルサイネージの活用方法
デジタルサイネージの活用方法として、主に4つの方法があります。
- 商品の活用方法を案内する
- 商品検索として利用する
- 商品紹介、生産者情報に利用する
- イベント、特売などの告知を行う
- 店内の空間を演出する
- 社内の情報共有に活用する
- 災害情報の発信にも利用できる
それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。
商品の活用方法を案内する
レシピや関連商品を案内し、購入につなげる方法です。その日の目玉商品となっている食材、調味料などを使ったレシピを提案したり、商品を購入した顧客からのメッセージを表示したりして、商品の活用方法をアピールします。チラシや紙のPOPでは伝えにくい作り方も、動画で実際に見せればわかりやすいでしょう。活用方法を実際に案内することで、「調理しやすそう」「食べてみたい」「作ってみよう」などと思ってもらえれば、購入につなげられます。
商品検索として活用する
タッチパネル式のデジタルサイネージは、情報を提示するだけでなく顧客が欲しい商品の位置などを検索する際にも役立ちます
便利で使いやすいシステムを導入して顧客がデジタルサイネージを利用できる環境を整えれば、従来よりも優れた購買体験を提供できます。
顧客に効率的な購買体験を提供できるようになれば、ただ情報を伝えるだけでなく、集客やリピーター創出にも役立つでしょう。
商品紹介、生産者情報に利用する
商品の生産者、製造工程、メーカーからのPR動画など、商品に関する情報を紹介する場所として使う方法です。食材や食品の安全性につながる情報として、生産者や製造工程は顧客が最も気になる情報の一つです。デジタルサイネージを使って詳しく商品情報を開示できれば、商品の安全性を担保することにつながり、商品に安心感を感じてもらいやすいでしょう。
実際に、消費者庁によれば、消費者が関心のある問題として「食中毒事故の問題などの食品の安全性について」が約7割、「偽装表示・誇大広告など、事業者による商品やサービスに関する偽りの情報について」が約6割ということがわかっています。半数以上の消費者が商品の安全性について高い関心を持ち、購入する際にも気にかけていると言えるでしょう。そこで、デジタルサイネージによってより多くの情報をわかりやすく届ける工夫が有効と考えられます。
参考:消費者庁「平成30年度消費者意識基本調査」
イベント、特売などの告知を行う
スーパーでは、特売品や本日のおすすめ、タイムセールなど日によっても時間帯によってもさまざまな施策を打ち出します。その度にポスターやPOPを貼り替えたり、チラシを何度も配ったりするのは現実的ではありませんが、デジタルサイネージを使えば、表示内容を変えるだけで情報を伝えられます。さらには、天候に合わせて「雨の日セール」など即時性のある施策も打ち出しやすくなるでしょう。
デジタルサイネージの即時性を利用した活用方法として、客足が減少した、売れ残りを早く売り切りたい、などの場合に広告内容をすぐ変更して対応する方法もあります。閉店間際に売れ残りセールをして客足の増加と売り切りを目指すなどもよいでしょう。表示コンテンツの変更はバックヤードで行えるため、紙媒体のように印刷物を回収して貼り替える手間がなく、業務負担を抑えながら売上アップのための新たな施策を打ち出せます。
店内の空間を演出する
デジタルサイネージでは工夫次第でさまざまな情報を表示できるため、表示する動画や静止画で店内の空間を演出する方法もあります。例えば、畑で育つ商品の近くに設置したサイネージで農園の様子や栽培環境を表示することで、商品がどのように育ってきたのかをイメージでき、安心感や魅力のアピールにもつながるでしょう。
また、夏には清涼感のあるドリンク、冬には温かいお鍋など季節感のある映像を流したり、鮮魚売り場では漁の映像、精肉売り場では牛肉や豚肉を扱った調理の様子を流したりするのも有効です。売り場にふさわしい雰囲気を演出することで、購買意欲を促進する効果が見込めるでしょう。
社内の情報共有に活用する
デジタルサイネージは、顧客だけでなく従業員同士の情報共有にも有効です。具体的には、以下の情報を通達する際に活用できます。
- 新商品の取り扱い開始・販売終了商品情報の共有
- 店舗間の在庫移動情報
- 日々の売り上げ達成状況
これらの情報を本部から全チェーン店に一斉配信することも可能です。
リアルタイムの情報を視覚的に伝えることで、店舗間・従業員間でスムーズに情報交換できます。これも、デジタルサイネージの活用方法です。
災害情報の発信にも利用できる
スーパーマーケットをはじめとした小売店、特に大型店は多くの人が利用します。災害をはじめとした万が一の事態が発生したときにデジタルサイネージがあれば、状況を迅速に把握できます。
デジタルサイネージが発信できる情報は、企業や店舗内のものだけではありません。インターネットから得た情報も伝えられます。
災害が発生したときの緊急地震速報や気象情報などの伝達に用いるのも、デジタルサイネージの有効な利用法です。
また、事前に避難経路や自宅への対策を促す映像・画像を用意しておけば、避難が必要なときの誘導にも役立ちます。
デジタルサイネージのメリット、効果
デジタルサイネージのメリットや効果として、視認性や設置場所を選ばないこと、コストやリソースの削減の3つが挙げられます。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
視認性が高い
デジタルサイネージは、チラシや紙媒体のPOPといった印刷物と比べて視認性が高いのが特徴です。文字やイラスト、画像だけの印刷物と比べ、動画の方が単純に情報量が多くなるだけでなく、パッと見てわかりやすいでしょう。音声つきで動画を流せば、広告としての販促効果だけでなく、上で紹介したように店内空間を演出することもできます。
設置場所を選ばない
デジタルサイネージは、端末を設置するだけでさまざまな映像を流せます。端末サイズは店頭の案内機として設置するような大きなものから、タブレットやスマホ程度の小さなものまでさまざまです。また、紙のPOPのように支えがないと折れてしまう、見づらくなるといった制約もありません。そのため、鮮魚売り場の端に設置して海の様子を演出したり、野菜売り場の隙間に設置して目玉商品の情報を伝えたりと、さまざまな設置の工夫が可能です。
コスト軽減、リソース削減につながる
ポスターやPOPが紙媒体だと、一度作った情報を更新したければ作り直し、貼り替えるしかありません。その度にデザインを作り、印刷して貼り替えるには、印刷にかかるコストも貼り替えの人的リソースも消費してしまいます。デジタルサイネージなら、デザインして各媒体へ送信すれば印刷のコストも貼り替えのリソースも必要なく、コスト軽減やリソースの削減につながるでしょう。
デジタルサイネージのデメリットや対策
デジタルサイネージは、メリットばかりではありません。デメリットもあり、導入の際には対策が必要です。デジタルサイネージのデメリットと対策について解説します。
初期費用や故障のリスク
デジタルサイネージ導入には、当然ですが初期費用がかかります。具体的には、以下の設備を導入する際にかかる費用です。
- ディスプレイ
- 管理システム
- Wi-Fi
これらの基本設備に加えて、大型ディスプレイや売り場に対応した数の機器を用意するとなると、その分の費用も発生します。
導入を検討する際は、必要な機器を購入またはリースするのに必要な費用をチェックするところから始めましょう。
また、かかるのは初期費用だけではありません。ディスプレイは電子機器のため、以下の要因で故障する可能性があります。
- 顧客との接触や衝突
- 売り場などで使用している水や雨漏り
故障した機器は当然使えないため、修理または買い替えが必要です。リースの場合弁償しなくてはなりません。この費用もまた、デメリットといえます。
故障によるトラブルは、設置場所に合わせた対策を行うことである程度回避できます。導入の際は初期費用だけでなく、故障対策にも目を向けましょう。
- 鮮魚売り場などの水の影響が懸念される場所では防水機能搭載の機器を選ぶ
- ディスプレイ画面に保護フィルムを貼る
- 顧客の導線やぶつかる恐れのある場所を避けて設置する
このほか、修理費を事前に確保しておく・専用の保険に加入しておくなどの方法もおすすめです。
電波が届かない可能性がある
デジタルサイネージは電波が届かなければ画像や映像がきちんと表示されません。店舗内に設置する際は、電波が十分に届いているかをチェックする必要があります。以下のような場所や状態は避けて設置しましょう。
- 電波が十分に届かない距離
- 電波を使用する機材が多すぎてきちんと配信されない
- 什器などで電波が遮られる
一見問題ないように見える場所でも、映像の映りや音声に影響が出てしまうエリアもあります。設置後は実際に動かして確認しましょう。
デジタルサイネージ導入の成功事例
デジタルサイネージは、実際のスーパーマーケットですでに導入されています。活用事例や成功事例を参考にすれば、より効果的な戦略を打ち出せるようになるでしょう。
デジタルサイネージ導入の成功事例を解説するので、参考にしてください。
いなげや
「いなげや」は、関東を中心に展開しているスーパーマーケットチェーンです。首都圏30店舗でデジタルサイネージ広告サービスを導入しています。
これにより、店舗内商品の特徴やおすすめ情報・特売やイベントなどをより魅力的に伝えられるようになりました。
東京都小平市にある「花小金井駅前店」で行われた実証実験では、導入により売上が3倍に増加するなどの販売促進効果が確認されました。
また、デジタルサイネージを用いたコミュニケーションを行うことで、リピート率増加・新規顧客獲得にもつなげています。
参考:ソニー、デジタルサイネージによる広告配信サービスを小売業界で拡大
ライフコーポレーション
近畿地方と関東地方でチェーン展開しているスーパーマーケット「ライフ」では、日本最大級のレシピサイト「DELISH KITCHEN」と提携し、店内デジタルサイネージでレシピ動画を公開しています。
ただ映像を流すのではなく、専用コーナーを設けて商品を紹介することで、顧客の献立を考えるヒントになるとともに、購買意欲を刺激できるようになりました。
デジタルサイネージの内容を商品と深くリンクさせることで、購買意欲を刺激し客単価をアップさせた好例といえます。
参考:ライフ/デリッシュキッチンと提携、全店で「レシピ動画」配信
デジタルサイネージを店舗経営改善に活かそう
デジタルサイネージでは、ディスプレイ上に静止画や動画を流すことで消費者によりわかりやすく、即時性のある情報を届けられます。商品の活用方法や安全性のアピール、セールなどイベントや特売の告知、空間演出など、活用方法は工夫次第で多岐にわたります。サイネージのメリットは視認性が高い、設置場所を選ばない、コストやリソースの削減につながるなどが挙げられます。店舗DXの一環でもあるデジタルサイネージを上手に使いこなしましょう。