来店者分析とは?店舗運営を見直すために必要な指標って?
店舗にとって来店者の動向を理解し、適切なターゲティングを行うことは非常に重要です。そのためには、まず店舗に実際に訪れる人について知る来店者分析を行う必要があります。しかし、来店者分析ではどんなことがわかるのか、どのような手法を使ったら良いかわからないという人も多いのではないでしょうか。本記事では、来店者分析の必要性や来店者分析の手法、ポイントを中心に、店舗運営を見直すために必要な指標について解説します。
目 次
来店者分析が必要な理由
そもそも、来店者分析はなぜ必要なのでしょうか。その理由は主に以下の3つが考えられます。
店舗運営の効率化のため
第一の理由として、店舗運営の効率化が挙げられます。店舗運営を長年の経験や勘で行っている人も多いえしょうが、必ずしもそれが毎回当たるとは言い切れません。データに基づいて分析を行うことで、例えば来店者が増える時間帯や曜日、季節などがわかり、それに合わせて施策を打てばより効果的になります。また、混雑する時間帯をおさえておけば店舗スタッフの配置を効率的・効果的に行えるでしょう。
それにより、発注や仕入れ、人件費などの無駄を省き、より効率的な運営ができるようになります。購入数から仕入れの数を割り出したり、混雑状況からスタッフを配置する時期や時間を設定したり、休憩を入れる時間を設定したりできるためです。
店舗の改善点把握のため
商品を仕入れてもなかなか売れないという場合、どんなことを直せば良いのかわかります。来店者の購買傾向から売れる商品、売れない商品の傾向を把握し、売れそうな商品を仕入れることが重要です。また、分析によって打ち出した施策の効果があったかどうかを数値的に把握することもできます。
顧客の行動や属性を理解するため
来店者分析では、顧客の行動や属性を理解できます。年齢層や性別、来店の際にどんな媒体を見たか、どんな商品を購入したか、どのくらいの時間店内に滞在していたかなどがわかります。さらに踏み込んで、来店した顧客が店内でどんな行動をしていたかについても分析ツールを使えばわかるでしょう。動線が良くないならレイアウトを改善するなどの検討ができます。
来店者分析でわかること
来店者分析を行うことで、主に以下の4つのことがわかります。
年齢、性別
来店者分析によって、来店者の年齢(年齢層)や性別がわかります。年齢や性別がわかれば、ターゲット層をより正確に把握できるでしょう。来店者の年齢や性別に合わせた施策を打ち出したり、内装や仕入れをよりターゲット層に向けて変更したりすることもできるようになります。
来店に至った割合
来店に至った割合とは、店舗の前を通った人のうち、何人が実際に店舗に訪れたかのことです。来店に至った割合が極端に少なければ、店舗の前を通っても店舗に気づかなかった、または店舗に魅力を感じることなく通り過ぎてしまった、ということだと考えられます。その場合は店舗に気づいてもらえるよう入口をわかりやすく装飾したり、ターゲット層の目に留まりやすいようなのぼりを立てたりする施策が立てられるでしょう。
滞在時間
滞在時間とは、店舗に入った人がどのくらい店舗内で過ごしたかを表します。一般的に滞在時間は長いほど購入点数や購入金額が上がりやすいことがわかっており、ある程度長く滞在してもらう方が良いと考えられます。滞在時間が極端に短いなら、店内の居心地や品揃えを見直してみる必要があるでしょう。
顧客経路
顧客経路とは、来店した顧客がどのような経路を通ったかのことです。分析ツールによっては動線(ヒートマップ)分析などと呼ばれることもあります。店舗内で顧客がどんな動きをしたか分析することで、混み合う場所や向かいにくい場所がわかり、レイアウト改善につながります。
来店者分析の手法
来店者分析で使われる手法には、主に4C分析・セグメンテーション分析・RFM分析の3つがあります。
4C分析
4C分析とは、顧客の視点からマーケティング戦略を考える際のフレームワークの一つです。顧客が商品やサービスを購入するに当たって重視する4つの要素の頭文字を取って「4C」と呼ばれており、具体的には以下の4つを言います。
- Customer Value(顧客価値)…顧客にとってその商品・サービスは価値があるか
- Cost(コスト)…商品・サービスを購入するために妥当性を感じるかどうか
- Convenience(利便性)…商品・サービスを購入しやすいかどうか
- Communication(コミュニケーション)…顧客との接点
例えば、顧客経路の分析は利便性と関係し、滞在時間は顧客価値や顧客との接点に関わります。このように、来店者を4Cに当てはめて分析するのが来店者分析としての4C分析です。
セグメンテーション分析
セグメンテーション分析とは、顧客をグループに分けてそれぞれどんなニーズを持っているか、競合がどのくらい存在するか分析することを言います。顧客(市場)のグループ分けを「セグメンテーション」と言い、年齢や性別、職業、趣味などの属性やニーズによって分類します。
セグメンテーション分析は、主に新たなニーズを見つけるのに役立ちます。例えば、年齢・性別といった属性からセグメンテーション分析を行うことで「若年層の来店者が多いから、若年層向けの商品をより多く仕入れよう」「女性が多いから、女性に居心地のよい店内インテリアにしよう」といったニーズを汲むことができます。
RFM分析
RFM分析とは、以下の3つの要素で顧客をグループ分けする手法のことです。
- Recency(最終購入日)…顧客が最後に商品やサービスを購入した日。短いほど高評価
- Frequency(購入頻度)…顧客が購入した回数。多いほど高評価
- Monetary(購入金額)…顧客の購入金額の総額。高いほど高評価
例えば、「FとMの数値は高いが、Rの数値が低い」という場合、「過去には商品やサービスをよく購入していたものの、最近では競合に奪われているなど何らかの要因で購入に至っていない」という図が考えられます。売上が伸び悩む要因を見つけるのに役立つ分析方法と言えます。
来店者分析を行う際のポイント
来店者分析を行う際は、以下の3つのポイントに注意しましょう。
顧客情報を積極的に収集する
カルテの記入など、顧客情報を集める工夫をすることが重要です。来店者分析で収集できる情報のうち、特に年齢や性別などの顧客属性はカルテで集めるのが手軽でわかりやすいでしょう。
目視と分析ツールを使い分ける
目視でわかる情報は目視で収集し、分析ツールを使うべきところは使うといった使い分けも大切です。特に、コンビニや雑貨店などなかなかカルテを書いてもらいにくいところは、目視が頼りになります。分析ツールと併用しながら、上手に情報を集めましょう。
店舗や業態・業種に合った分析を行う
店舗や自社に合った分析を行うことも意識すると良いでしょう。例えば、スーパーマーケットやドラッグストアなどは顧客経路を把握し、より動きやすい動線を確保することが求められます。
まとめ
来店者分析は、店舗運営を効率化したり、改善点を発見したり、顧客の行動や属性を理解してターゲティングに活用したりするために必要です。来店者分析では年齢・性別などの属性から、顧客の通った道や滞在時間など行動についても把握できます。4C分析やセグメンテーション分析、RFM分析などを用いて来店者分析を行い、店舗運営を見直してみてはいかがでしょうか。