最寄り品とは?購買をうながす4つのマーケティング施策も紹介
最寄り品という言葉の意味をご存じでしょうか?人は買い物をするとき、何も考えずに購入することもあれば、時間をかけて比較・検討して購入することもあります。
消費者が購入に至るプロセスは購入しようとする商品によって異なるため、消費者の行動様式ごとに商品分類をすることがあります。この記事では、商品分類の一つである「最寄り品」の定義や具体的な商品例、最寄り品の購買を促す4つのマーケティング施策を紹介します。
目 次
最寄り品とは
個人や家庭で使用するために購入するすべての製品やサービスを消費材と言いますが、最寄り品はその消費財のひとつとして分類されています。ここでは、最寄り品の意味や最寄り品の例を見ていきましょう。
最寄り品の意味
最寄り品とは、消費者が日常的に使用する商品のことを言います。具体的には最寄りの店舗で購入される購買頻度の高い商品のことです。単価は低いものが多く、スーパーマーケットは最寄り品を扱う代表格。各店舗によって販売価格に大きな差がないのも特徴です。
また、消費者は最寄り品をわざわざ遠くの店舗に行って買うということはしません。計画を立てて購入するということもほとんどないでしょう。そのためスーパーマーケット側から考えると「いかに最寄り品を仕入れられるか」「いかに消費者に自然に最寄り品を買ってもらえるか」が売上向上・維持のポイントと言えます。
最寄り品の例
最寄り品とは、具体的に以下のような商品のことを言います。
・肉
・魚
・野菜
・飲料水
・ティッシュペーパー
・トイレットペーパー
・洗剤
・雑誌
など、スーパーマーケットの主力商品の多くが最寄り品に該当します。
その他の消費財分類
最寄り品は消費財分類の中のひとつであり、マーケティング用語でもあるため、覚えておくべき言葉と言えます。さらに最寄り品のほかにも「買回品」「専門品」「非探索品」の3つの分類があるため、それぞれ詳しく紹介します。
買回品の意味とその例
買回品とはデザイン・価格・質を比較検討するために、複数の店舗を回って購入するような商品のことを言います。消費者が複数の店舗を「買い回って」購入するため、買回品と呼ばれています。耐久消費財や趣味品も買回品に含まれており、最寄り品の対義語と捉えると覚えやすいでしょう。
買回品は、家具や家電製品、洋服、マンションなどが該当します。どれも即決できないものであり、単価が高い傾向にあるのも特徴です。最寄り品の商圏が狭いのに比べ、買回品を扱う店舗の商圏は比較的広くなるのも特徴と言えます。
最寄り品の分類
一口に最寄り品といっても、その種類は多岐に渡ります。そのため、すべて同じ頻度・関心度で購入されるとは限りません。マーケティングの際は、商品ごとに異なる購入タイミングや特徴を捉える必要があります。
以下の図は、最寄り品の分類と特徴・商品例をまとめたものです。
分類 | 特徴 | 商品例 |
恒常商品 | 定期的に購入する商品 | ・トイレットペーパー ・タバコ ・石鹸 ・歯ブラシ |
衝動購買商品 | 買い物途中で衝動的に購入してしまう商品 | ・スナック菓子 ・レジ横のガムや雑誌 |
緊急商品 | 突発的に必要になる商品 | 傘やレインコート |
最寄り品はその分類により適切な陳列場所や方法が変化します。売上向上のためには、上記の分類をおさえ、顧客がより手に取りやすい配置を意識することも大切です。
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専門品の意味とその例
専門品とは、購入する際に特別な知識や趣味性が必要となる商品のことを言います。具体例としては車や高級ブランド品が挙げられます。消費財分類の中ではもっとも独占性が強く、高級ステータスとなるような商品が該当します。
単価が非常に高いのも専門品の特徴です。専門品は、こだわりをもって購入する商品であり、ある消費者にとって、「これしかない」という特別感を抱かせます。 自社の商品がある消費者の専門品となれば、店舗を訪れ指名買いをしてくれるはずです。
永続的に購入し続けてくれる可能性もあるでしょう。ただし、専門品を売るためにはブランディングや顧客のロイヤルティを構築するためのマーケティング戦略が必要です。最寄り品や買回品とはプロモーションの方法も大きく異なります。
非探索品の意味とその例
非探索品とは、消費者が普段は購入しようと思わない商品のことを言います。簡単に言うとなくても困らない商品のことです。具体的には、生命保険のように認知していても積極的に購入しようと思わないものや、消費者がまだ認知していない商品も非探索品に含まれます。
非探索品は、消費者が認知しているしていないに関わらず、基本的には購入しようと思われにくい商品です。そのため、積極的に広告やプロモーションを打つことで、消費者の購買意欲を促進する必要があります。
最寄り品の関心度とニーズ
最寄り品は恒常的に購入される商品ですが、関心やニーズがほかの商品よりも低いわけではありません。マーケティングを成功させるには、最寄り品が持つ関心度やニーズをおさえておくことも大切です。
次は、最寄り品の関心度やニーズについて解説します。
最寄り品ごとに異なる関心度
顧客の多くは最寄り品に対する関心度、いわゆるこだわりはほかの製品よりも比較的低い傾向にあります。購入時に価格で比較されるのは、このためです。
しかし、この特徴はすべての最寄り品が該当するわけではありません。一部の顧客は、お菓子やお酒などの嗜好品に該当する最寄り品に対して、高い関心度を持っています。これは、商品ごとの違いが大きいものも同様です。
嗜好品や関心度にばらつきのある商品は、ほかの分類に該当する商品と同じような戦略が活用できます。最寄り品に対するマーケティングを行う際は、商品ごとに異なる関心度にも注目しましょう。
ニーズとその特性
最寄り品のニーズは日常に顕在しており、多くの小売店が取り扱っています。自社商品・店舗を利用してもらうには、工夫が必要です。
商品価値や品質にこだわるだけでなく、企業からのアプローチやコミュニケーションも並行して行いましょう。
具体的には、以下3つのポイントを意識した戦略を用います。
- 顧客が購入する直前に商品情報に触れられるか
- 商品に対する接触機会を少しでも多く設けられているか
- 顧客と双方向の関係構築ができているか
これらの視点に基づいたマーケティングや接客を行うことで、顧客が最寄り品を必要としたときに、自社商品・店舗を想起する確率を高められます。最寄り品の開発・販売戦略の際は、3つの視点を意識しながら取りかかりましょう。
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最寄り品購入を促す4つのマーケティング施策
最寄り品は、消費者が日常的に購入するものです。しかし、「少しでもお得なものが欲しい」「探すのに手間をかけたくない」というのも消費者心理。 最寄り品を確実に購入してもらうためにも、以下のような方法を参考にして見てください。
①陳列を工夫する
最寄り品の購入を促すためには、陳列の工夫が重要です。最寄り品がどこにあるのかがわかりやすければ、その分購買を促すことができます。動線を確保しておき、目につきやすい場所に陳列しましょう。
また、最寄り品はより多くの商品を陳列させておき、定期的に品出しを行うのも有効です。さらに、最寄り品のそばに関連商品を並べて配置することで、最寄り品以外の商品の購買を促進すること(クロスマーチャンダイジング)も可能です。
クロスマーチャンダイジングについては以下の記事も参考にしてみてください。
クロスマーチャンダイジングのメリットや手順、事例をご紹介
②PB商品を活用する
PB(プライベートブランド)商品を活用するのも、最寄り品の購買促進に有効なマーケティング手法です。プライベートブランドとは、流通業者や小売業者によって独自に企画され、自社店舗で販売されるブランド製品のことを言います。
プライベートブランドは、直接顧客に販売する小売業者が企画・開発に携わります。そのため、顧客ニーズや要望をブランドの特性に直接活かしやすいのが特徴です。
また、競合と差別化しやすいのも特徴のひとつです。プライベートブランドの開発によって差別化に成功すれば、最寄り品を計画的に購入してもらうことも不可能ではありません。小売業者としては、利益率の高い商品を販売できるのもメリットです。
PBについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
PBとNB。その意味やメリット・デメリット、スーパーでの活用事例などをご紹介!
③EDLPを導入する
EDLP(Every Day Low Price)を導入するのも、最寄り品の販売促進に有効です。EDLPとは、その名の通り「毎日安い」をセールスポイントにする価格戦略のことを言います。
消費者としては、いつも安く買えるという安心感を得られたり、ワンストップで買い物ができたりといったメリットがあり、来店促進にもつながります。店舗としても、売上予測が立てやすかったり、特売チラシが不要になったりするメリットがあります。
EDLPについてより詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてみてください。
「EDLPとは?言葉の意味、メリット・デメリット、成功のコツを詳しく解説!」
④ブランディングを推進する
最寄り品の購入を促すには、ブランディングを推進するのもおすすめです。近年ではインターネットで最寄り品を購入する方も少なくありません。消費者としては、近隣に魅力的な店舗がなければインターネットで買い物を済ませられる時代です。
無数の選択肢があるなかで、特にスーパーマーケットにおいては消費者の「お気に入り」の店舗として認知してもらえるような工夫がないと、来店してもらえない可能性もあります。
そのためにも、ブランディングを推進することが必要です。ブランディングを推進することで、安定的な来店数を確保でき、さらには新規顧客の獲得も可能になります。EDLPや、PB導入もブランディングのひとつですが、店舗ブランディングの手法として「きゃらくるカート」の導入もおすすめです。
「きゃらくるカート」を導入すれば、子どもが人気のキャラクターと買い物を楽しめます。家族での買い物を楽しく特別な時間にすることができ「また来たい」「行きたい」と思ってもらえるでしょう。「きゃらくるカート」にご興味ある方は、ぜひ弊社にお問合せください。
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最寄り品はより確実に購入してもらうことが重要
最寄り品とは、消費者が日ごろ最寄りの店舗で購入する商品のことです。消費者は何気なく手に取っている商品ですが店舗側としては意図的に、そしてより確実に購入してもらうことで売上の向上・維持が可能になります。
最寄り品の購買を促すためには、陳列の工夫やブランディングの推進がポイントです。この記事で紹介したマーケティング手法を参考に、売上の向上・維持を目指してみてはいかがでしょうか。