スーパーのマグネット売り場とは?マグネット売り場では何をすべき?
スーパーマーケットの売り場づくりにはさまざまな考え方や手法があります。いずれも顧客の購買意欲を高めたり、注目を集めたりするのが目的です。その中でも、顧客を磁石(マグネット)のように引きつける売り場、という考え方やその売り場のことを「マグネット売り場」と言います。本記事では、マグネット売り場の概要や、マグネット売り場ですべきことをご紹介します。
目 次
マグネット売り場とは
スーパーマーケットの中で、マグネット(磁石)のように顧客を引き寄せる売り場のことを指します。顧客が特に欲しがるような商品を置き、集客力の強い売り場を打ち出すことで、マグネット売り場を中心とした顧客の流れを生み出せるでしょう。すると、マグネット売り場だけでなく店舗全体としても売り上げアップが期待できます。
マグネット売り場には第1〜第4の4つがあり、それぞれ以下のように役割が異なります。
第1マグネット売り場
第1マグネット売り場は、入店した顧客のほとんどが通る「主通路」に沿って一周する棚のことを言い、来店客の70〜80%を主通路沿いに歩かせる目的があります。そのため、第1マグネット売り場に置くアイテムは以下のようなものがよいでしょう。
- 買い上げ率が高い
- 廉価で気軽に購入できる
- 主力となる商品
- 客層を限定しない商品
- 消費頻度が高く、頻繁に買われる商品
第1マグネット売り場に置いてある商品で、顧客が奥まで歩いてくれるかどうかが決まるため、商品選定は非常に重要です。顧客の波がとどまらないよう、商品選択に時間がかからない購買頻度の高い商品、気軽に購入できる商品を多くするとよいでしょう。また、来店の度に目にする場所なので、定期的に商品を入れ替えるなどの工夫をするのもおすすめです。
第2マグネット売り場
第2マグネット売り場は、各通路の突き当たりの場所です。主通路の突き当りだけでなく、それぞれの棚の間の通路の突き当りも第2マグネット売り場と呼ばれ、来店客を店内の奥まで惹きつけることが目的です。そのため、第2マグネット売り場に置くアイテムは以下のようなものがよいでしょう。
- 華やかな商品
- 新商品など、これまでになかった商品
- 季節商品
パッと目を引くような、インパクトのある商品を置くのがポイントです。思わず「何だろう」と近寄ってみたくなるような商品がベスト。そのため、大きな販促物やスポットライトなどを利用して華やかに演出するのも手です。ただし、あくまでも商品に興味を持ってもらわなくては意味がないため、販促物などの装飾が主役にならないよう注意しましょう。
売り場で行う装飾については、以下の記事でも解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
「売り場の装飾はどうつける?ポイントや具体的な方法をご紹介」
第3マグネット売り場
第3マグネット売り場とは、店舗の内部に設置される「棚」の端っこのことを指します。ここはエンド売り場とも呼ばれ、第1マグネット売り場で棚を眺めている顧客の注意を引いて店舗内部の棚にも誘導する役割を持っています。そのため、第3マグネット売り場には以下のようなアイテムを置くとよいでしょう。
- 特価品
- 季節の商品
- 他社との差別化をはかる専門性の高い商品
- SNSで流行したなど、一時的に強い需要がある商品
- メーカーの大型新商品
- プライベートブランドの商品
1つのエンド売り場に置く商品は3品〜5品程度に抑え、品目を絞ることでパッと見てわかりやすい配置にし、購買意欲を高めるのがポイントです。一時的に強い需要がある商品なら、思い切って1種類か2種類に絞ってしまう方法もあります。また、エンド売り場ごとに違うテーマを配置し、レイアウトの色に変化をつけて注目を集めることも重要です。
よくあるミスとして、エンド売り場が定番の売り場になってしまうのはNGです。定番売り場は買い上げ率こそ高いものの、そこで完結してしまうため、棚の中まで入りにくくなるためです。エンド売り場では見せたい商品を絞って訴求し、定番売り場とは分けましょう。どうしても売れ筋の商品を置きたい場合は、訴求力を高めるため単品で大量に置くなど、陳列に工夫が必要です。
エンド売り場については、以下の記事でも解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
「スーパーにおけるエンドの役割とは?エンド売り場の作り方のコツはある?」
第4マグネット売り場
第4マグネット売り場とは、棚と棚の間の通路部分を指します。第1マグネット売り場を通り、第3マグネット売り場で目を引かれた顧客にしっかり棚の中まで入って商品をじっくり見てもらう、という役割があります。そのため、第4マグネット売り場には以下のような商品を置くとよいでしょう。
- 第3マグネット売り場と関連性の高い商品
- カテゴリ内でも購買率が高い商品
- 購買頻度の高い商品
第4マグネット売り場は主通路より通る人数は減るものの、商品やブランドをじっくり見たいと思う顧客が通る場所なので、商品の見せ方などテクニックが重要です。そのため、第3マグネット売り場はもちろん、周囲の陳列商品との影響を考えながら配置します。主通路から見やすいように大量陳列をしたり、中心部分にPOPを設置したりして目立たせると、飽きさせずに商品を見てもらいやすいでしょう。
マグネット売り場は「よりどころ」
広い店内でどこに何があるかわからないと、顧客は手前から順に見ていかなくてはならず、面倒がって買うのをやめてしまうことも考えられます。そんな中で、マグネット売り場は店内の「よりどころ」である、と言えるでしょう。そこで、マグネット売り場を「よりどころ」にするためのコツを3つ紹介します。
色を変える
同じような商品が並ぶ中で、そこだけ色が違うと目立つため、思わず「行ってみよう」と思いやすいでしょう。例えば、以下のようなやり方があります。
- 壁紙の色を変える
- 什器の色を変える
- 陳列商品のパッケージで色を統一する
構造物で注目を集める
店内に何らかの構造物があると、そこに注目が集まります。例えば、以下のようなものが挙げられます。
- やぐら
- オーニング(布製のひさし)
- 他と違う形の什器
展示物を利用する
展示物とは、目立つPOPを立てたり、大きなオブジェなどを天井から吊るしたりするものです。デパートの屋上からバルーンが浮いているように、なんとなく「あれは何?行ってみよう」と思えるポイントになります。特に、人型のオブジェはとても目立つので、季節もので展示できればぜひやってみてはいかがでしょうか。
品揃えを工夫する
品揃えをそこだけ変えることで、目立つ売り場にさせられます。特にエンド売り場、第3マグネット売り場で大切な考え方です。例えば、以下のような目立たせ方があります。サインやPOPなどを使い、パッとわかりやすい文字情報で届けるとよいでしょう。
- CMなどマスメディアの広告、SNSなどで話題になっている商品
- ひな祭り、クリスマスなど季節ものの商品
- 特売品
- 人気のブランドもの
店頭販促を行う
店頭販促を行うことで、人が集まるポイントを作り、新しくきた顧客も「あそこでは何が行われているの?」と思ってもらいやすくなります。例えば、スーパーでは試飲や試食、実際に調理してみるなどの実演販売が挙げられます。
まとめ
マグネット売り場は第1〜第4まであり、それぞれ役割が異なります。特に、顧客の大きな流れを作る第1マグネット売り場や、第1マグネット売り場から第3、第4マグネット売り場への流れは店内の顧客の動きを決める重要なポイントと言えるでしょう。マグネット売り場は顧客にとって広い店内をどう回ればいいかの「よりどころ」でもあることを意識し、マグネット売り場の陳列を工夫しましょう。