LTVとは?計算方法とマーケティングへの活かし方

小売業界において、新規顧客の獲得は過去に比べて難しくなっているうえに、ただ大量の顧客を確保するだけでは利益につながるとは限らない状況が続いています。
より確実に、効率的に利益を得るには、既存顧客を中心に、より利益を確保するための視点が必要です。
この視点を得て、売上向上のために必要な要素を分析する際、必要になるのがLTVです。本記事では、LTVの意味や役割・計算方法から活かし方まで、基本的な知識を解説します。
目 次
LTVとは

LTV(Life Time Value:ライフタイムバリュー)とは、「顧客生涯価値」と訳される指標です。顧客が企業と取引を開始してから終了するまでの期間に、どれだけの利益をもたらすかを表しています。LTVを明らかにすることで、以下のメリットが享受できるようになります。
- 自社サービスの利益体質の把握
- 顧客の傾向分析
- 顧客獲得
- 維持コストの目標数値算出
LTVは企業活動やマーケティングにおける目標設定・適切な経営ができているかの判断として活用されています。
LTVの計算方法

LTVは、以下の計算式で求められます。
平均購入単価×粗利率×1年間の購入回数×継続年数
例として、以下の条件を持つ顧客を用いて計算してみましょう。
- 粗利率:30%
- 購入商材の単価:1万5,000円
- 購入頻度と継続年数:毎月1回の購入を3年継続した
1万5,000×30%×12(毎月1回の購入)×3
=16万2,000円
計算の結果、この顧客のLTVは16万2,000円となりました。
なお、サブスクリプション型サービスの場合は、チャーンレート(解約率)を用いて算出する方法も採用できます。式は以下のとおりです。
平均購入単価÷チャーンレート
商品やサービスの提供方法に応じて、適切な計算式で求めましょう。
LTVの関連用語

LTVは複数の指標や数値を用いて計算する関係から、いくつかの関連用語があります。LTVをスムーズにマーケティングに活かすためにも、以下の関連用語もあわせて覚えておきましょう。
ARPA・ARPU
ARPA・ARPUは、LTVの計算に必要な、平均購入単価に関連する用語・数値です。
ARPA(Average Revenue Per Account)は、1アカウントあたりの平均売上単価を示す数値で、以下の計算式で求められます。
売上÷顧客数
ARPU(Average Revenue Per User)は、1顧客あたりの平均売上額を指す指標です。以下のように計算します。
売上÷ユーザー数
現在、サブスクリプション型サービスの普及により、ひとつのアカウントを複数ユーザーまたはデバイスで利用・共有するケースが増えています。
そのため、LTVを求める際は、まず自社商品やサービスの形態に応じて、アカウントベース・ユーザーベースのどちらで平均売上額を求めるかを判断しなくてはなりません。
どちらもLTVを計算する際必要な数字であり、それぞれ異なる意味があります。混同しないよう注意しましょう。
CAC
CACは「Customer Acquisition Cost」の略で、顧客ひとりあたりの獲得コストを指す用語です。このあと解説するユニットエコノミクスの計算で用います。CACは以下の計算式で求められます。
新規顧客獲得にかかったコストの合計÷新規顧客獲得数
なお、この数値を計算する際に用いるコスト合計額には、以下のマーケティング費用も含みます。
- 営業活動
- イベント
- 広告出稿
正確な数値を求めるためにも、CACを求める際は漏れの無いよう注意しましょう。
ユニットエコノミクス
ユニットエコノミクスは、採算性を可視化する指標のひとつです。以下の計算式で求めます。
LTV÷CAC
この計算式で出た数値は収益性と連動しており、高ければその分収益性も優れていることが分かります。基準としては「3~5」が一般的ですが、サブスクリプション型サービスの場合、3以上が基準になることもあるため、注意しましょう。
商品やサービスの形態により、適切な数値を基準にするのがユニットエコノミクスを活用する際のポイントです。
MQL・SQL
このふたつの指標はLTV向上を目指す際に重要な数値です。どちらの意味も正しく理解しておきましょう。
MQL(Marketing Qualified Lead)は、マーケティング活動で獲得した有望な見込み客を指します。マーケティングの影響を強く受けている顧客を見込み客として想定します。
SQL(Sales Qualified Lead)は、自社商品やサービスに強い希望を抱いている層です。
このふたつを明確に分類する基準を設けることで、利益につながりやすい顧客を見極め、効果的なアプローチができるようになります。
LTV向上につながるポイント

企業に長期的な利益をもたらすLTVですが、向上のためにはいくつかのポイントをおさえておく必要があります。次はLTV向上につながるポイントについて解説します。
顧客単価を上げる
1回あたりの顧客数が向上すると、必然的にLTVも向上します。アップセルやクロスセルなどを駆使して、顧客にとって無理のない範囲で購入を提案できる環境を構築しましょう。LTV向上には、顧客単価を上げる戦略が重要です。
購買頻度を高める
また、購入額だけでなく購買頻度も高める必要があります。そのためには、顧客データを正しく把握・分析することが大切です。CRMやMAなどのツールを活用して、顧客データを効率的に収集・分析しましょう。
また、マーケティングを行う際は、これらの分析をきちんと活かすことも大切です。
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継続時間を延長する
LTV向上には、後続的に商品やサービスを利用してもらう必要があります。そのためには、顧客ロイヤリティの向上が欠かせません。
例えばスーパーマーケットをはじめとした商業施設の場合、家族連れが買い物しやすい環境を構築したとします。これにより、ほかの商業施設との差別化を図りつつ、ファミリー層のロイヤリティを確保できます。
具体例としては、以下の施策があります。
- きゃらくるカートをはじめとした子どもと一緒に買い物できる設備の導入
- 子どもが好むおもちゃやお菓子を扱うコーナーの設置
- キッズルームやベビールームなどの子どもと一緒に楽しめる・すごせる設備の導入
- 買い物中に利用できる保育所の設置
なお、これらはほんの一例です。顧客が求める施策はその時その場所により異なります。施策の実施・導入後も定期的に顧客を分析して、ニーズをきちんと満たしているかを確認しましょう。
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顧客獲得・維持コスト・解約率を下げる
顧客獲得と維持にかかるコストを抑え、利益幅を大きくすることでも、LTVは向上します。営業リソースの有効活用やマーケティング部門との連携を深め、より小さなコストと時間で大きな利益を得られるよう工夫することも大切です。
また、サブスクリプション型サービスの場合、顧客の離脱を防ぐことがLTV向上に直結します。現在利用している顧客だけでなく、離脱した顧客の分析も行い、離脱対策を講じることも大切です。
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LTVを用いてより効果的なマーケティングを展開しよう
LTVの分析と活用は、企業が長期的な利益を得るうえで重要な要素です。LTVはそれ単体としての利用だけでなく、複数の指標や数値の分析にも用いられます。
LTVを利用する際は、LTVだけでなくその周辺用語も含めて理解・活用しましょう。
また、ただ分析するだけでなく、その結果をマーケティングに活かすことも大切です。活用のポイントをおさえ、どのような施策や戦略を展開すれば自社の利益につながるかを、よく考えながら利用しましょう。

