ドラッグストアが子育て世代、ファミリー層の集客を行うには?
近年、ますます市場規模の拡大するドラッグストア。日用品や食料品はもちろん、調剤薬局を併設することでより利用しやすく成長する店舗も多く見られます。そんな中、子育て世代、すなわちファミリー層の集客は大きな課題の一つです。
今回は、ドラッグストアが子育て世代、ファミリー層に向けた集客を行う方法について考えます。
目 次
ドラッグストアの現状
セルフメディケーションという考え方の広まり、コロナ禍によるウイルス対策用品の需要増加など、ドラッグストアの需要は高まっています。経済産業省「商業動態統計(2020年、概況)」によれば、ドラッグストアの新規店舗出店も前年より578店舗増加し、全体の売り上げも前年比6.6%と6年連続で増加傾向にあります。
しかし一方で、ドラッグストアの利益は上位企業の寡占化が顕著だとされています。上位企業が立地の良い場所にどんどん店舗を出店してしまい、競合となる中小企業は競争に負けて業績が低迷してしまっているというわけです。
そんな中、ドラッグストアを経営する中小企業が生き残るためには、入念なマーケティングが重要です。次章からは、特に子育て世代・ファミリー層の集客を中心として、ドラッグストアにおけるマーケティングの基本を解説します。
ドラッグストアが選ばれるために
ドラッグストアは、医薬品の他に日用品や食料品も取り扱っていることから、競合となる店舗は他社のドラッグストアだけではありません。
ニューファミリー層とは
「マイホームを持ち、ファッションや趣味などに敏感」「友達のような親子・夫婦といった、親子のへだてがない家庭」のことをニューファミリー層と呼びます。現在のニューファミリー層の購買行動として、特にデジタル化が顕著なのが大きな特徴です。デジタルネイティブ世代が成人して既に数年が経過し、今後はデジタルネイティブ世代を親とする家庭にも注目していく必要があるでしょう。
近年のニューファミリー層は、日用品や食料品の購入先をドラッグストア、コンビニエンスストアのほか、スーパーマーケットやECサイトなども含めてうまく使い分けているのが特徴です。そこで、ドラッグストアが選ばれるために、何らかの工夫が必要です。
ファミリー層の集客について、スーパーマーケットの視点からは以下の記事をぜひご参照ください。
「スーパーでファミリー層を集客するには?売上アップのおすすめ施策もご紹介」
デジタル販促の重要性
ニューファミリー層だけでなく、広告施策全体としてデジタル販促が注目されています。かねてより使われてきた折り込みチラシなどの広告は、費用対効果が期待できなくなってきたため、だんだん廃れてきています。代わって市場規模を広げているのがバナー広告やリスティング広告、スマホアプリのオファーウォール広告など、各種デジタル広告です。
デジタル広告は気軽に見てもらいやすいだけでなく、クリック率や購買データなど費用対効果が見えやすく、測定しやすいのが特徴です。そのため、より効果の高い広告を選びやすく、したがって費用対効果も得られやすいという好循環に結びつきます。
エリアマーケティング
実店舗を持つドラッグストアにおいて、エリアマーケティングは非常に重要です。商圏内の競合他社、顧客層を分析し、しっかりターゲティングを行いましょう。新規店舗出店の際には、ターゲット層となりうる顧客が多いエリアに出店することも必要です。
エリアマーケティングについて詳しくは、ぜひ以下の記事もご参照ください。
「エリアマーケティングとは|売れる店舗づくりのための分析・戦略」
地域の「かかりつけ薬局」へ
調剤薬局を併設しているドラッグストアなら特に、セルフメディケーションも合わせた包括的な対処が患者さん自身で行える「かかりつけ薬局」になることもできます。かかりつけ薬局の良いところは、患者さんの服薬情報や既往歴などが薬局に蓄積されていくため、病院を受診するほどではないトラブルの際に相談しやすいことです。
特に、子育て世代やファミリー層では、子どものちょっとした体調不良は日常茶飯事と言えます。その度に病院を受診している暇がないこともあるでしょう。そんなとき、かかりつけ薬局で相談し、市販薬で対応できれば非常に便利です。
このように、子育て世代やファミリー層の集客のためには、地域の「かかりつけ薬局」になることを中心としたアプローチが非常に有効と考えられます。次章では、その具体的な方法を考察します。
ドラッグストアでできる、子育て世代へのアプローチ
ドラッグストアが子育て世代にアプローチするために、どのような手法があるかご紹介します。
子育て世代へのアプローチの考え方
子育て世代でまず考えるべきことは、子どもの関心ごとと親の関心ごとは異なるということです。子どもはたいてい親の買い物に付き合わされているのが実情です。一方で、親は子どもの動向に注意を配るあまり、安心して買い物ができません。子育て世代の集客では、この2つの課題を解消すべきででしょう。子どもが楽しく過ごせるための施策はもちろん、親が買い物に集中できるような環境や、安心して過ごせるための対策が重要です。
●キッズスペースや設備の整備
ファミリー層は、長時間の待機に慣れない子どもを連れています。親が安心して買い物できるよう、子どもが喜んで集中して遊んでいてくれるような、楽しめる場所や設備が必要です。そこで、キッズスペースやキッズ用設備を整備すると良いでしょう。
キッズ用設備として、キャラクターと一緒に楽しくカートに乗れる「きゃらくるカート」の導入もおすすめです。子どもが楽しく過ごせる設備をショッピングカートと融合させることで、親が子どもから目を離すことなく、買い物に集中できる環境を実現できます。
●感染症対策
新型コロナウイルス感染症の予防はもちろん、インフルエンザや風邪、食中毒などにも配慮する必要があります。子どもや親に喜ばれるという視点を中心に、施策を十分に楽しんでもらえるよう、周辺環境であるキッズスペース・設備の整備や、感染症対策を忘れずに行いましょう。
きゃらくるカートでは、感染症対策もしっかり行っています。車輪以外の表面全体に抗菌・抗ウイルス加工済み(※2020年9月以降に導入されたきゃらくるカート)で、子どもが触っても安全なほか、除菌や清掃のためにアルコールを使っていても成分が落ちません。
調剤薬局での待ち時間
ドラッグストアの買い物が長時間になる要因の一つとして、調剤薬局での待ち時間があります。しかし、調剤薬局では安心・安全で有効な薬を提供するために、以下のような入念なチェックがなされているため、どうしても時間がかかってしまうのです。
- 処方箋を確認し、内容を照合する
- 処方箋の内容に合わせ、薬剤をピッキングする
- 薬剤を計量や分包、調合する
- 再チェックし、内容と間違いがないか再度よく確認する
医薬品は市販の薬品と異なり、効果が強力なため、正しく使わなくては危険なこともありえます。つまり、調剤薬局の待ち時間はある程度仕方のないことと言えます。そのため、待ち時間をなくすのではなく、待ち時間が苦にならないような施策を考える方が良いでしょう。
ファミリー層の「かかりつけ薬局」になるために
ドラッグストアは、調剤薬局併設や薬剤師常駐の店舗であれば特に、ファミリー層の「かかりつけ薬局」を目指すことも視野に入れると良いでしょう。
特に、子育て中の保護者は子どもの体調管理に敏感です。勉強会などのイベントを行うことで、地域交流のきっかけにも、子育て中でひとりになりがちな保護者同士の交流のきっかけにもなるでしょう。困ったときはすぐに頼れる、セルフメディケーションも含めたドラッグストアならではのファミリー層への寄り添い方を模索する必要があります。
まとめ
ドラッグストアの市場規模がますます広がる中、上位企業の寡占化も中小企業にとって大きな課題となっています。そんな中、ドラッグストアが子育て世代への施策を打ち出すには、他店舗との差別化で「選ばれる」店舗にならなくてはなりません。きゃらくるカートなどのキッズ用設備、かかりつけ薬局になるなど、ファミリー層に選ばれる店舗を目指しましょう。