売り場の装飾はどうつける?ポイントや具体的な方法をご紹介
スーパーマーケットなどの売り場では、装飾も売り上げにつながる重要な販促物です。顧客に居心地の良い空間だと感じてもらえるように、また、購買意欲につながるように、各店舗や企業によってさまざまな工夫がなされています。今回は、売り場の装飾の基本的な考え方とポイント、具体的な装飾の付け方についてご紹介します。
目 次
売り場装飾の基本的な考え方
まずは、売り場装飾の基本的な考え方を3つ見ていきましょう。
視覚に訴える
売り場の装飾で最も重要なこととして、視覚に訴えるというポイントがあります。例えば、以下のようなことを意識しましょう。
- 目立つ場所に売りたい商品を配置する
- 商品のパッケージ部分がしっかり見えるようにする
- 色や大きさを揃え、ボリューム感を出す
パッケージ部分には商品の情報が書かれているほか、思わず手に取りたくなるような工夫が施されているため、最も基本的な販促物であると考えることもできます。商品のパッケージが確実に顧客から見えるように配置するだけでも手にとってもらいやすくなるでしょう。また、色や大きさを揃えて並べることで、商品を目立たせボリューム感を出すこともできます。
変化をつける
季節や時世に合わせた装飾にしたり、陳列に変化をつけたりすることで、店舗に訪れた顧客の目を楽しませられます。目新しさから、いつも通っているスーパーでも「今のイベントではどんな装飾をしているだろう」というワクワク感を感じてもらえます。また、カテゴリやコーナーごとに敷物や棚の素材を変えたりすることでも、売り場が魅力的に見えるでしょう。
POPやポスターを活用する
POPやポスターなど、店内で使える販促物の効果を最大に引き出すことも重要です。POPを適切な位置に配置したり、そもそも文面や文字の大きさ、入れる情報に気をつけたりすることはもちろん、ポスターやのぼりなどと合わせてどう配置すれば目に止まりやすいか、買い物を楽しんでもらいやすいか考えて装飾をするとよいでしょう。
売り場を装飾するメリット
売り場を装飾すると、さまざまなメリットが手に入ります。売り場の装飾を検討する際は、以下の効果を活かせるよう意識しましょう。
集客力の向上
売り場の装飾や商品ディスプレイには、顧客の興味や関心を引き付ける効果があります。商品の特徴や店舗のおすすめ商品を周知・誘導できれば、売上や利益アップにつなげられるでしょう。
たとえば、陳列している商品が少なく隙間が空いていると、商品があまり売れていない印象を持たれてしまいます。すき間をPOPや装飾で埋めれば、商品をアピールしつつ売り場に変化を持たせられます。
店舗装飾やディスプレイは、うまく活用できれば商品の魅力向上につなげられる要素です。店舗が力を入れている商品を販売したい場合はもちろん、売上が芳しくない商品や期限切迫品などの早めに売りたい商品をさばくのにも役立ちます。
購買意欲の向上
装飾やPOPは商品に対する企業・店舗側の思いを伝えやすくするメリットもあります。
たとえば、冷やし中華や鍋用調味料などは、それぞれ主に暑い時期と寒い時期に販売される商品です。そのため、それぞれの季節にマッチした装飾をすることで、シズル感や購入後イメージを連想させる効果が期待できます。
購入後のイメージを想起させることで顧客の購買意欲を刺激できます。また、季節の変化を楽しみながら買い物ができる環境は、衝動買いなどの促進に効果的です。うまく活用すれば、特定の商品だけでなく全体の売上や購入数向上にもつなげられるでしょう。
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売り場のコンセプトアピール効果
装飾を使いこなせるようになれば、売り場のコンセプトを簡単に演出できます。これも装飾やディスプレイが持つ効果です。
たとえば、色味をおさえて落ち着いた印象の装飾は高級感を、明るい色を多数使用すればポップな印象を与えられます。
コンセプトの分かりやすいレイアウトは、他店舗との差別化や店舗の雰囲気を好む顧客のファン化に有効です。これもまた、店舗装飾により得られるメリットといえます。
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売り場に装飾をつけるポイント
次に、売り場に装飾をつける際のポイントについて、4つの点をご紹介します。
統一感を出す
統一感は、売り場の装飾で最も重要なことです。店内全体の統一感と、青果・精肉・デリなど、各コーナー内での統一感を出すことを意識しましょう。統一感を出すためのポイントは、以下の3つです。
- POPやチラシなどで使うフォントを統一する
- 販促物の形やサイズを統一する
- 販促物のカラーを統一する
このためには、まず店舗のイメージをしっかり意識する必要があります。店舗のイメージはターゲット層に合わせて決めましょう。よく来店する客層、もしくは来店してほしい客層に合わせます。色を決める際は、色相環を使って色の調和を意識することも重要です。
色相とは、赤や青など色味の違いのことを指し、似た色同士を隣に並べて円環上にしたものを色相環と言います。色相環で隣り合う色を使うと統一感が出る反面、色相環で反対にある色(補色)を使うとお互いの色を引き立て合うという効果が得られますので、配色の際にはよく考えて工夫しましょう。
例えば、店舗のカラーやコーポレートカラーなどがオレンジである場合、POPなどの販促物にオレンジはもちろん、黄色や赤などと組み合わせれば統一感が生まれます。そして、目立たせたいポイントにだけ補色である青を使えば、ごちゃごちゃにならずスッキリとした装飾にできるでしょう。
ターゲット層に合わせる
店舗のイメージをターゲット層に合わせることは前章でも紹介しましたが、売り場によってもターゲットに合わせた販促を行うことは非常に重要です。スーパーマーケットのターゲットとなるのは主にファミリー層ですが、売り場によってはシニア層や若年層、子どもがターゲットとなることもあります。それぞれの層に合わせた販促物を使いましょう。
POPのデザインも、主婦層がターゲットの場合と子どもがターゲットの場合で異なります。主婦層なら漢字をたくさん使って情報を多く入れる方が喜ばれますが、子どもはひらがなでないと読めないことも多いです。シニア層の場合は、見やすく大きな文字で書くことが重要になります。また、若年層ならおしゃれなデザインに惹かれる人も多いでしょう。
季節感を取り入れる
変化をつける、の項目でも軽く触れましたが、売り場に季節感があると、共感を得やすいです。春・夏・秋・冬の四季はもちろん、季節ごとのイベントで使う食材の売り場にはわかりやすく装飾を行いましょう。バレンタイン、お花見、お盆、お月見、ハロウィン、クリスマスなど、季節イベントは年間を通じてたくさんあります。ぜひ、季節感を取り入れた装飾で楽しく買い物をしてもらいましょう。
ポイントとなる場所を入れる
コーナーやセールなど、「ここを見てほしい!」というポイントになる場所を入れることで、店内装飾にメリハリがつきます。これも変化をつける、の項目で触れたことですが、ときどき特集コーナーなどを作るといつも来ている顧客にも新しい発見、楽しさがあり飽きさせません。おすすめ商品、旬の食材などを目立たせるとよいでしょう。
売り場につける装飾の具体例
最後に、売り場につける装飾の具体例を、大きく3つに分けてご紹介します。
POP
店内装飾で最もよく知られ、使われているのがPOPです。商品の使い道を説明するカード、割引を目立たせるプライスカードなどが挙げられます。近年では、デジタルサイネージを使って動画を流すデジタルPOPなどもあり、POPには以下のような役割があります。
- 購買意欲を高める
- 商品の魅力を伝える
- スタッフの説明の手間を省く
店舗内でどこに何があるか、わかりやすく訴求できるのもPOPの良いところです。POPを活用し、効果的に店内装飾を行いましょう。
POPについて詳しくは、以下の記事でもご紹介しています。
「スーパーのPOPはなぜ必要?POPが果たす役割や作り方を知ろう」
カラーシート、敷物
冷蔵ショーケースの中などで使われるのがカラーシートや敷物です。柄の種類も材質もさまざまなので、使う場所によってシートや敷物を変えるとよいでしょう。例えば、鮮魚コーナーでは青を基調とした敷物を使うことで海のイメージに、精肉コーナーでは緑を基調とした敷物を使うことで草原のイメージになります。アイスクリームなどの嗜好品は、ポップな敷物を使うと楽しく買い物ができるでしょう。
吊り下げパネル、タペストリーなど
天井から吊り下げるタイプのパネルやタペストリーなどは、まとめて吊りものと呼ばれます。季節感を出したり、流行の商品を紹介したりするのによく使われます。店内に入ってきた瞬間に目立つので、季節ものの売り場の上に吊り下げたり、店内装飾を大きくイメージチェンジしたいときに使ったりするとよいでしょう。
売り場の装飾における基本テクニック
売り場の装飾やディスプレイでは、さまざまなテクニックが活用されています。次はその中でも、実際にスーパーマーケットなどの小売店で活用されているテクニックをご紹介します。
グルーピング
グルーピング(Grouping)は、組分けを指す用語です。装飾テクニックにおいては、同一商品・類似商品・関連性の高い商品をグループ別に仕分けしてまとめる方法を指します。同じカテゴリの商品を以下の要素でグループ分けし、ポジションを決めて陳列するテクニックです。
- 材料や形態
- パッケージの容量
- サイズや形
グループ同士の隙間を指1本分開けるなど、陳列方法も含めて統一することで、顧客が商品を見分けやすいディスプレイを構築できます。
フェイシング
フェイシング(Facing)とは商品の顔、つまりパッケージの正面部分を指す用語です。陳列ではパッケージの正面をそろえて並べます。
商品の名前や特徴など、顧客に伝えたい内容がデザインされている正面部分をよく見える位置に配置することで、手に取りやすい状態を作り出せます。
陳列数(フェイス数)は、商品の売上高に影響する重要な要素です。適切な陳列数は販売する商品ごとに異なるため、商品に合わせた陳列数で展開するのが、フェイシングのポイントといえます。
フォーミング
フォーミング(Foming)は、商品をより美しく形付けるテクニックです。主に衣類品の陳列に適用されます。具体的には以下の方法が用いられます。
- マネキンやボディへの着付け
- 商品や小物を垂らし吊るす形で展示する
- 壁やパネルにピンで留める
センスと技術が要求されるテクニックで、店舗装飾の経験や日常トレーニングが要求されます。ポピュラーですが、高度な技術が要求される陳列方法です。
エフェクト
元からあるものに対して、加工を加えるまたは加えた場合に使えるテクニックです。店内装飾においては、商品イメージや商品価値・魅力をより強調するデコレーションテクニックを指します。よく使われているテクニックとしては、以下のものがあります。
- 顧客が取りやすい高さや位置に商品を飾る
- カテゴリごとに商品をグループ分けして分かりやすく展示する
- 什器などに商品を盛りつけて強調する
顧客の目を引きやすいため、小売業ではよく活用されているテクニックです。有効な反面、予算を意識しつつディスプレイや小物の政策に必要な期間・費用を検討する必要があります。効果的に活用するには、専門的な知識が必要です。
スペーシング
スペーシング(Spacing)は、グルーピングされた商品を視覚的に際立たせるために行われるテクニックです。商品同士の「間」を開けることで見やすく美しい陳列を作ります。スペーシングを利用する際は、以下の違いを意識しながら表現するのがポイントです。
- サイズ
- 質感
- 高さ
- 色彩
商品ごとのバランスを取りつつ、売り場スペース条件を正確に把握しながら並べることで、統一感ある売り場を構築できます。
カラーコーディネイト
商品の色分け・売り場全体の色バランスなど、カラーの持つイメージで規格や商品全体のテーマ・ストーリーを表現する方法です。バランスにより売り場や商品のイメージを大きく変更できます。
目的の商品を売り場でより魅力的に見せるための色使いを意識するのが、カラーコーディネイトのポイントです。
まとめ
売り場の装飾は視覚に訴えるものが基本です。季節感を出したり、POPなどの販促物をうまく活用したりするとよいでしょう。ポイントはごちゃごちゃにならないよう統一感を出すこと、ターゲット層を絞り込むこと、ポイントとなるコーナーを作ることなどがあります。POPやカラーシート、吊りものなどを活用し、効果的に店内装飾を行いましょう。