実店舗のマーケティングとは?マーケティングの必要性や戦略もご紹介
「モノが売れない時代」と呼ばれ、コロナ禍などの影響もあってオンラインショッピングが進む昨今、実店舗が生き残るためには、顧客のニーズを把握し、購買行動に合わせたマーケティング戦略が重要です。
本記事では、実店舗におけるマーケティング戦略の必要性や、実際に行うべきマーケティング戦略について、詳しくご紹介します。
目 次
そもそもマーケティングとは
マーケティングの定義や、店舗マーケティングについて初めに確認しましょう。
マーケティングの定義
マーケティングはともすると商品販売だけに注目してしまいがちですが、商品を販売するまでには概ね以下のような手順があり、そのすべてがマーケティングと言えます。
- 市場調査
- 商品企画、製造
- 商品の輸送や保管
- プロモーション活動
- 販売経路の確保
- 販売、契約
- アフターサービス、フォロー
今回は、店舗におけるマーケティングについて紹介するため、実店舗で何らかの商品を販売する場合に限って、次章から解説します。
マーケティング手法については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
「店舗経営に必要なマーケティング手法とは?マーケティングはなぜ必要?」
店舗マーケティングとは
店舗マーケティングはインストアマーケティングとも呼ばれ、実店舗で行われる、消費者の購買意欲を促すためのマーケティングのことです。インストアマーケティングの施策には、以下のようなものがあります。
- POP
- デジタルサイネージ
- 店舗レイアウト
POPとは店舗の入口や商品の棚などに掲示されるポスター、広告のことで、商品棚につけた「紹介POP」などが有名です。デジタルサイネージとは、電子モニター上に動画や画像を表示し、通行客の関心を引くものです。店舗レイアウトでは、レイアウトに工夫をして購買意欲を高めたり、ついで買いなどを促す配置にしたりします。
店頭販促について詳しくは、以下の記事でご紹介しています。
「店頭販促とは?基本の考え方と目的、方法について知ろう」
店舗におけるマーケティングの必要性
そもそも、売上がどのように生まれるのか、要素を分解してみましょう。
売上=客数×客単価
これをさらに分解していくと、客数には新規顧客とリピーターの両方があり、客単価は商品の単価と購入数を掛け合わせた合計となります。そこで、店舗の売上を増やすためには、新規顧客やリピーターを増やすそれぞれの戦略、商品単価を上げる戦略、購入数を増やす戦略などが有効だと考えられます。
特に店舗の場合は、ECサイトなどの通信販売、オンラインショッピングとは異なり、商圏という制限が存在します。商圏とは実店舗に来る顧客の存在する範囲で、新規顧客はもちろんリピーターもほとんどが商圏内から来店します。つまり、商圏内に存在する顧客にいかに来店してもらうか、いかに購入してもらうかが売上アップの鍵となるでしょう。商圏の考え方は、後述するエリアマーケティングにもつながります。
店舗におけるマーケティングの戦略
では、店舗におけるマーケティング戦略について、5つのポイントに分けて考えていきましょう。
市場調査・エリアマーケティング
前述のように、実店舗には商圏というものが存在します。そのため、実店舗のマーケティング戦略の基本として、商圏に基づいた市場調査を行う必要があり、これをエリアマーケティングと言います。エリアマーケティングでは、店舗のある地域に対し、以下のような分析を行います。この分析のことは、商圏分析と呼ばれます。
- 環境、顧客の属性分析
- 顧客の消費行動、ライフスタイルの分析
- 生活習慣や風習など、地域文化の分析
- 競合の分析
まず初めに、国勢調査などの統計データを利用し、エリアの特性として人口数や見込み顧客の年代・性別などターゲット層を把握します。昼夜間の人口差や、学生数・高齢者数などにも注目すると良いでしょう。次に、顧客の消費行動やライフスタイルを分析します。例えば、大型ショッピングモールが近くにあってよく利用されているエリアなのか、交通手段は自動車か徒歩か、などが当てはまります。
生活習慣や風習など、地域ごとの文化特性も重要です。よくある話にカップラーメンのスープの違いが挙げられますが、このように、地域に馴染みのない商品を売り出しても受け入れられにくいのが現状です。生活習慣や風習など、文化特性を考慮した商品を選びましょう。
また、既に当該地域に競合他社が出店している場合は、競合他社がどのような店舗運営をしているのか分析することが必須です。競合と全く同じ店舗展開、戦略を打ち出しても選ばれにくいでしょう。この点は後述する「競合との差別化」で詳しく説明します。
エリアマーケティングについて詳しくは、以下の記事で詳しく解説しています。
「エリアマーケティングとは|売れる店舗づくりのための分析・戦略」
市場に合わせた商品の開発・仕入れ
市場調査、エリアマーケティングが終わったら、次は市場に合わせた商品を開発したり、仕入れたりしていきます。このとき、顧客が商品を購入する理由について把握することが重要です。例えば、以下のような理由が挙げられます。
- 菓子…単に腹を満たしたいのではなく、脳の疲れを癒したり、SNSなどの話題に乗ったりしたい
- 酒…単に水分を摂取したいのではなく、日頃の疲れを解消したり、ストレス発散したりしたい
このように、顧客が商品を購入することで満たしたい、本来のニーズを把握しましょう。本来のニーズは「ベネフィット」とも呼ばれ、ベネフィットを把握することで、同じ菓子や酒を開発したり、仕入れたりするにあたっても、どのような菓子や酒を仕入れるかの判断基準になりえます。
競合との差別化
競合との差別化では、他社や他店舗とは違う、「この店舗だから行きたい」と思ってもらえる動機付けが必要です。実店舗の場合、取り扱う商品で差別化したり、顧客サービスで差別化したりするのが効果的です。取り扱う商品による差別化には、ここまで説明してきた市場調査や市場に合わせた商品の開発・仕入れが役立ちます。
顧客サービスによる差別化とは、他社にはない付加価値を提供するということです。ポイントを貯める、購入回数などでクーポンを配布するなどのロイヤルティプログラムが代表的ですが、近年注目されているのは顧客の購買体験です。店舗の接客の質を上げ、実店舗で購入するメリットを感じてもらいましょう。
例えば、子どもから目を離すことなく一緒に、かつ親子ともに楽しくショッピングが楽しめる「きゃらくるカート」も、競合他社との差別化になりえます。きゃらくるカートがあれば、多少遠い店舗でも親子ともに楽しく買い物ができるから行こう、となることもあるためです。
スーパーにおける差別化戦略については、ぜひ以下の記事もご参照ください。
「スーパーの差別化戦略とは?理由や差別化のポイントを詳しく解説」
売上や需要の予測
商圏分析で得られたデータを活用し、店舗の売上や需要の予測を立てます。売上予測がある程度立てられれば、仕入れやコスト管理などに役立てられ、在庫量を適切に管理することでスムーズな店舗運営にもつながるでしょう。新商品を展開したり、取り扱う商品の幅を広げたりするのにも役立ちます。
プロモーション活動
マーケティングにおけるプロモーション戦略、すなわち広告や宣伝活動には、以下のようなものが考えられます。
- 看板、のぼり
- Web広告
- SNS
- アプリ
- 新聞の折込チラシ
従来、実店舗のプロモーション戦略として新聞の折込チラシがよく使われていましたが、近年では新聞を購読する人が減ったことなどから費用対効果が見込めなくなり、Web広告やSNSでの集客に移行する店舗が増えています。通りかかった人へのアピールとしては、看板やのぼりなど視認性の高い販促物を掲げるのが効果的です。自社アプリを開発し、スマホ通知でプロモーションにつなげるところも増えています。
まとめ
マーケティングではプロモーション活動ばかりがピックアップされがちですが、その前段階である市場調査や商品の企画も重要です。特に実店舗では、見込み顧客に商圏という制限があるため、市場調査としてエリアマーケティングという考え方が欠かせません。その後、競合との差別化や売上・需要の予測、プロモーション活動につなげていきましょう。競合他社との差別化には、ぜひきゃらくるカートもご検討ください。