ショッパーマーケティングとは?購入を促す効果的な仕掛け作り
マーケティングと聞くと広告などの施策がイメージしやすいですが、最近は店舗内にて、商品を購入する人、つまりショッパーに注目した施策が実施されています。
これからのスーパーマーケットが生き残るには、商品だけでなく購入者を意識した活動にも取り組んでいかなくてはなりません。そこで本記事では、主に店舗内で行われるショッパーマーケティングの基礎的な知識をまとめました。
目 次
ショッパーマーケティングとは
ショッパーマーケティングとは、ショッパー、つまり購入者の気持ちや動きを理解したうえで商品やサービス購入につなげる仕掛けを施すマーケティング手法です。
2007年ごろ、米国の団体であるGMA(Grocery Manufactures Association)が定義付けしたのが始まりだといわれています。この章では、基本の考え方と従来のマーケティング手法との違いを解説します。
消費者と購入者は違う
商品を使う消費者は必ずしも購入者であるとは限りません。消費者にアピールしても購入決定権を持つ人が別では、その人が動かない限り購入してもらえません。
この購入決定権を持っている人を動かすのが、ショッパーマーケティングの目的です。
例えば、子供向けお菓子は小さい子どもがターゲット、つまり消費者ですが、実際に購入するのは子どもの保護者です。この例でいえば、ショッパーは子どもの保護者が該当します。
確実に商品を購入してもらうには、ショッパーである保護者目線のアピールも行わなくてはなりません。このアピールを行うための分析や施策が、ショッパーマーケティングです。
コンシューマーマーケティングとの違い
コンシューマーマーケティングとは、従来のマーケティング手法のひとつです。店舗に足を運んでもらう前までに働きかける形で商品やサービスをアピールします。
具体的には、広告などの宣伝を通して商品に対する興味や購買意欲を喚起させます。
一方、ショッパーマーケティングは、店舗に足を運んだ後のコミュニケーションを重視する手法です。店舗導線や棚割り・POPなどを通して商品に対する興味を喚起します。
顧客が本来購入する予定のものに加えて、新しいものを購入させることで売上につなげます。
コンシューマーマーケティングとショッパーマーケティングは、顧客への働きかけのタイミングや用いる販促が異なる手法であるといえます。
ショッパーは2タイプある
ショッパーマーケティングにおける購入者は、ふたつのタイプに分けられます。マーケティングを実施する際は、このふたつのタイプをおさえておくことが大切です。ショッパーの種類と特徴を解説します。
スティッカー
スティッカーは購入する商品を常に決めており、滅多に目移りしない購入者を指します。興味の対象は商品であり、基本的に飽きるまで同じ商品を買い続けます。
知らない商品を購入して失敗したくない気持ちが強い反面、気に入った商品は長い間リピートしてくれるのが特徴です。スティッカーに働きかけるには、安心感がカギになります。
【関連記事】
最寄り品とは?購買をうながす4つのマーケティング施策も紹介
バラエティシーカー
バラエティシーカーは、買い物自体を楽しみ気分転換にしている購入者です。棚全体を見渡して見慣れない商品を探すのが特徴で、目新しさに反応を示します。
スティッカーのようにいつも購入する商品もありますが、いつもの品に新しい商品を加えて購入します。バラエティシーカーは店舗に新しい発見を求めているため、働きかけにおいては目新しさや刺激がカギです。
ショッパーマーケティングを行う際のポイント
ショッパーマーケティングを実施する際は、以下のポイントが重要になります。マーケティングの際押さえておきたいポイントも知っておきましょう。
顧客への関心を持つ
ショッパーマーケティングは、購入決定者の感情を動かすのが目的です。目的を果たすには、顧客へ関心を持ち、どのような施策をすれば顧客の視線や興味を動かせるかを考えなくてはなりません。
顧客の行動を無理に変えるのではなく、あくまでも自然に手に取ってもらえるような施策を考えるのが、ショッパーマーケティングにおけるポイントです。
買い物時間の大半を占める移動時間を増やす
ショッパーマーケティングを実施する際重要なのが、購入決定者が商品購入にかける時間です。この時間をどれだけ増やせるかが、マーケティング成功のカギを握っています。
購入決定者が1週間以内で買い物するうち、その80%は移動、つまり商品を購入してほしい店舗側にとっては無駄な時間に消費されています。
この無駄を少しでもなくして商品を購入してもらうには、購入決定者が商品前で足を止めるように仕掛けることが重要です。
購入決定者が商品購入にかける時間を増やすにはどうすればいいか、考えながら施策を計画、実施しましょう。
顧客が商品を購入する瞬間に注目する
顧客が店舗で買い物中に購入を決める瞬間は、以下の3つに分類できます。
- 目に留まったとき
- 立ち止まるまたは引き止められたとき
- 購入を決定したとき
この瞬間を左右するのが視覚です。施策を実施する際は、購入決定者である顧客の目を引けるような仕掛けを考えましょう。
実際にスーパーマーケットなどで買い物するとき、私たちは売り場全体を見渡しながら店内を回り、棚の中から商品を絞り込んで購入しています。流れを知るとすべてに視覚が関わっていることに気が付くでしょう。
ショッパーマーケティングを利用した施策を行う際は、顧客の視覚やそれによる動線を分析したうえで仕掛けるのもポイントです。
ショッパーマーケティングを意識した具体的な仕掛け
ショッパーマーケティングの基本的な考え方とポイントをおさえたところで、実際に活用されている施策をチェックしましょう。ショッパーマーケティングを意識した仕掛けを解説します。
短期間で買い物する顧客に注目した仕掛け
売りたい商品を見やすく手に取りやすいように並べるだけでも、購入機会を増やすのに役立ちます。特にショッパーの購入意欲を刺激する方法です。ショッパーの半数は購入商品数が5個以下と少ない傾向にあります。
少数購入するショッパーの多くは、購入額こそ少ないが人数が多く、売上の3割を占めているといわれています。
積極的に販売したい商品は、短期間で買い物する顧客の目に留まりやすい、または手に取りやすいように並べましょう。成功すれば、売上向上につなげられる可能性があります。
【関連記事】
スーパーにおけるエンドの役割とは?エンド売り場の作り方のコツはある?
顧客の動きを分析して利用する
店舗内の顧客の動きが滞留している場所は、ある程度傾向があります。顧客の動きや流れを分析すれば、目に留まりやすい・購入してもらいやすい場所や棚割りが分かるようになるはずです。
顧客の動きを利用する際は、店舗内の導線や顧客の傾向を調べましょう。そのうえで、的確なレイアウトや商品陳列に改善できれば、購入や売上向上につなげられます。
【関連記事】
左回りの法則とは?人間の特性を利用した効果的なマーケティング
商品を活用した足止め施策も有効
商品には顧客を足止めする力や、購入決定を促す力があります。これらを利用するのもいい方法です。
例えば、スーパーマーケットの売れ筋商品は、青果や精肉です。これらは売り場全体のインパクトが強いため、人通りが多い場所に陳列した方がよく売れます。エンドなどの特別陳列でも優先的に場所を確保すべき商品です。
一方、健康食品やエスニック食品などは、一部ファンはいますが青果や精肉のようなインパクトはありません。そのため、レイアウトや陳列でアプローチするよりも品揃えや価格・POPなどの販促が有効です。
このほか、売れ筋商品とニッチな商品を組み合わせて販売するのもいい方法です。先ほどの例なら精肉コーナーの傍にエスニック調味料を置けば、抱き合わせ購入を狙えます。これもショッパーマーケティングを利用したテクニックです。
なお、商品の魅力は商圏の地域性や主な年齢層・気候なども深く関係します。商品を活用する際は、これらの要素も考慮したうえで実施しましょう。
ショッパーマーケティングは売上アップにつながるマーケティング
ショッパーマーケティングは、顧客の特徴や傾向を利用して商品購入機会を増やす手法です。うまく活用すれば、売上や利益アップにつなげられるでしょう。
なお、特定の顧客へ働きかける設備も、ショッパーマーケティングの有効な手段です。きゃらくるカートは小さいお子さんのいる家庭の来店を喚起する効果が期待できます。興味を持たれた方は、ぜひお問い合わせください。